オーストラリアで台湾系のおじさんと飲む話
今日はシドニーから少し北に進んでブリスベンにやってきました。
が、例によってまた中国語ばっかり使っています。今いるのは、市の南部の郊外にある某ベッドタウン。中国系住民が人口の3割という街です。こちらでは自分の台湾人脈つながりで、台湾系の区議に会って事情を聞いていました。

相変わらず漢字の世界(ただしこの街は繁体字メイン)

中国語と英語が入り混じった張り紙が大変にエモい。
この街、実は台湾系の人がかなり多いのです。というかブリスベン市の自体がそう。2021年の国籍調査では、台湾系オーストラリア国民は約5万人いるそうですが、そのうち約1.3万人がグレーター・ブリスベン都市圏に在住。留学なんかの台湾人長期滞在者も含めるともっと多いでしょう。
「台湾には北回帰線が通ってるだろ? このクイーンズランド州には南回帰線が通ってる。気候が台湾と近いから、特に台湾南部の人はこの街に好んで住みがちだ。シドニーのチャイナタウンは観光用で誰も華人は住んでいないけれど、こういう場所こそ本当のチャイナタウンなんだぜ」
とは、市議の話です。で、彼が呼んでくれた、こっちに移住して長い台湾系のエリートおじさんたち(とはいえ若い頃は相当苦労したと思われる)とマレーシア華人料理を食べていました。
美味かったです。華人のおじさんが連れて行ってくれる店は常にありえないほど美味いという世界の法則はオーストラリアでも変わらないらしい。

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ところで、台湾人のオーストラリア移住は、実は80年代末から90年代初頭が多かったわけです。
理由は、台湾の民主化。
いや、「民主化って良いことでしょ? なんで国を離れるんだ」と思うのは、私たち日本人の感覚。そもそも、現在それなりにいい感じの民主主義国家になっている21世紀台湾のイメージから、当時を考えてはいけないわけです。あの時代の台湾は未来が見えなかったので。
まず、中国の国際社会復帰によって、アメリカや日本すら台湾と断交してヤバい。中国大陸では天安門事件が起き、相変わらずヤバい。そんななかで台湾では、長きにわたり恐怖政治を敷いた国民党の独裁政権がほころびを見せ、民主化することで何とかして中華民国を延命させようと試みていた。
国を根本的に変えて、ちゃんとうまくいく保証はありません。「別に大丈夫じゃん?」と思えるのは後世の人間だけ。特に外省人や国民党支持層の本省人は、当時はかなり不安だったと思われます(今回会ったおじさんたちのルーツが、かつて台湾でどういう立場だったのかは聞いていませんが)。
なので、当時はまだ少年だったおじさんたちは、家族に連れられてオーストラリアのブリスベンに移住したわけです。それから30年以降が経ち、皆さん現地でわりかし成功して現在に至る。台湾系おじさん×5人に歴史あり。
「しかし、オーストラリアっていい国ですよね。今日もカンタス航空の地上職員やCAのお姉さんがめちゃくちゃ優しくて好印象でした。アメリカはもちろんですが、カナダでもこんなに優しくはされないなと」
「そう。欧州系の国のなかで、オーストラリアが1番優しいと思うよ。差別も全然ないし。長くこっちで暮らすなかで、そういうの感じたことないもの」

過去に行った国のなかではカナダといちばん似ているがちょっと違う。
もっとも、近年はそんなオーストラリアにも変化は起こっています。
このクイーンズランド州が発祥の右派ポピュリズム政党、ONE NATION党がえらい伸びている。最近の世論調査では、なんと既存の大政党である労働党と自由・国民連合(※オーストラリアはほぼ二大政党制)を押しのけて最大の支持を集めたとか。
このONE NATION党は、「普通オーストラリア人です🇦🇺!」という主張を掲げて党首が登場。反エリート主義で、移民排斥や先住民への配慮措置の停止を訴えている。
ええ。なんか日本でもお馴染みのアレです。熊本の地震で亡くなったベトナム人労働者を叩いているような「普通の日本人です🇯🇵!」のみなさんたち。
ちなみにONE NATION党、ちょっと前までは華人系移民を叩いていましたが、最近はムスリム叩きにシフトしたそうです。あと、保守の大政党(正確には2党の連合グループ)でオーストラリア版自民党みたいな感じの自由・国民連合が、ONE NATION党の台頭を見て連立を模索しはじめていると。
ああ、やっぱアレです。すげえ既視感あるやつだ。

正式名称は党首の名前を冠して「ポーリン・ハンソンのワンネイション」。これも既視感あるやつだ(左右逆だけど)
で、幼少期に台湾を捨ててオーストラリアで叩き上げ、国家と社会に貢献して成功したエリートの台湾系豪州人のおじさんたちから、酒飲みながらONE NATION党の悪口を聞く。
ちなみ彼ら、区議氏は自由党で、お友達は労働党と政治的立場は違ったりするんですが、そういう区別を超えて「ONE NATIONやべえ」というのが共通認識のようです。
どこの国も変わりません。
熊本のベトナム人叩くなよ。マジで。
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