習近平健康不安説を論じることの不毛
最近、またネットでわけわかんない話が流れています。あーら奥様、お聞きになりました? 習近平が健康不安なんですって。それより奥様、ファーウェイ創業者の任正非ファミリーが逃亡したらしいですわよ。他にももろもろ。
ちなみに習近平健康不安説については、先日にインドでBRICS首脳会議に出た際に、インドのモッディ首相から「大丈夫ですか?」と2回声をかけられた(らしい)動画が出ています。ここらへんも根拠のひとつらしい。いや、本気で人事不肖だったら「大丈夫?」じゃ済まないと思うんですが。

みなさん、お元気ですか?
そういえば今年の2月にも、中央軍事委副主席の張又侠の失脚で北京でクーデターとか、張又侠が残した手紙(※ソースは法輪功系メディア)とか、ヨタ話がいっぱい流れていたのを思い出します。
あと、もはや毎年の初夏の季語と化している三峡ダム決壊デマ。さらに認知戦とか台湾有事をバズワードにして騒ぐ一部の言説も、質的にはこれらと限りなく近い。安田がギャグで小説にするくらい、うんざりするほどいっぱい流れています。
とはいえ、この手の話はよほど確定的な事実が出ない限り、基本的にスルーでOKです。
この手の話の出所は、中国政府に弾圧されている新宗教の法輪功系メディア(中共が憎いので宗教的信念でデマを流す)の情報か、青バッジ付きインチキ在外民主派中国人が流量稼ぎで流したヨタ話か。
それを、質の低さとウラ取りのなさでは定評がある台湾の各メディアが取り上げ(大手でもやるから怖い)、さらに中国語がわからない英語圏や日本語圏の陰謀論者やインフルエンサーが騒ぎまくって以下略。毎度毎度、このようにして拡散するという構図です。
ほっとこう。人面犬とか口裂け女の目撃談と変わらんやつですから。

なんか2024年にも騒いでる人たちがいた。学習しろよ……
口コミの価値と怪しさ
もっとも念の為に言っておくと、中国において怪しい噂が真実になる事例それ自体はあります。
かの国の政治はブラックボックス。某重大事件の最初の話は、関係者から漏れ出た口コミ情報……。というケースが、過去にそれなりにあったことは事実だからです。
直近では張又侠の失脚がそうですね。あと、2010年代前半の令計画の息子事故事件(※胡錦濤の腹心・令計画のドラ息子がフェラーリに裸のお姉ちゃん乗せて北京の高速ぶっ飛ばしていたら事故死したというマンガみたいな事件。令計画失脚の引き金に)とか、さらに薄熙来の失脚前後のとんでもないゴタゴタとか。
そもそも林彪事件や四人組逮捕だって、第一報時点ではヨタ話としか思えない話です。
しかしながら、これらの「真実」の背後に横たわるのは、その百倍か千倍かという荒唐無稽なヨタ話です。事実だった噂話というのは、いわばサルが毎日サクランボを投げて遊んでいたらたまたま岩の中心に当たったみたいなもの(トライの母数が多すぎるのでたまに当たる)。
野球で言ったら打率0割4分だけどシーズン本塁打8本みたいな感じでしょう。ディアーよりひどい。

ブラックボックスのなかでどういう状態になっているのかわからない、シュレーディンガーの熊
いわんや、習近平の健康問題です。初期段階の問題なら絶対にまともに表に出ません。本当の意味で事実を「確定」できるのは、それこそご本人が死んだときくらいです。
せめて、表舞台での活動が全然ないとか肉声が出てこなくなったとか、そのくらいの事実が観測されてから論じたい。さもなくば、スルーが正解だと思います。
「健康不安説」への想像力
なお、話が変わりますが、最高機密じゃないのが安田の健康問題です。すでに各方面で公開している通り、ラムゼイ・ハント症候群を発症。以下のような感じになっています。

言える機会がきました!<br />
<br />
9/6に難病罹患。ラムゼイハント症で右顔面完全麻痺、確率4割で一生治らん。<br />
<br />
超すげえ。みてみて
しかし、いざめんどくさい病気を発症した身として言うと、政治家の「健康不安」を論じる際に再起不能レベルの脳卒中の仮説ばかり持ち出すのは、それを語る者の病気に対する想像力の貧困を反映している気はします。
実際のところ、体調不良は多種多様。認知に問題はないけれど顔半分が固まって目が閉じられないとか(※上記俺)、全身倦怠感やら痛みに苦しむだとか、別に死にはしないけど困る状況はたっぷりあります。また、仮にそれがQOLを大幅に削るものだったとしても、その人物の活動の全面的な制約につながるわけでもありません。
モディがBRICS首脳会議で「大丈夫ですか?」と心配したとき、習近平はどんな感じだったんでしょうね。
そもそも、彼が体調不良だったのかどうかも、すべては霧の中の話なのですが。
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