豪州にあるグーグル★2.6評価のパン屋が別な意味でやばかった件について
オーストラリアの首都キャンベラは人工都市で、繁華街と呼べる場所はほとんどありません。あるのはキャンベラセンターというショッピングモールくらい。食品も書籍も土産物も揃いますが、逆に言えばここ以外ではなかなか買えなさそうです。選択肢がすくなすぎる。
到着した夜、このモール内のスーパーcolesに行ってみました。ふむ、入り口左手に「一粒麦子」と漢字が書かれた店が。華人系なんだな。なにもないこの街でも、市民の華人系住民比率は5%くらいはあります。

命をつなぐcoles。「一粒麦子」は左端の柱の向こうです。

ユニクロもあるで。
元中国外交官のYさんと会う合間に、市内の中華エリアを探してみました。キャンベラでこれに相当するのはディクソン(Dickson)という地域です。キャンベラじゅうの中国人が、食材を買いに来たりメシを食いに来たりする場所。

ジャッキーがいた。なんか手が変だ。

ちょっとおしゃれ。

中華スーパーはこの写真の向かいにも1軒ある。
もっとも、ご覧の通り。シドニーやメルボルンの中華タウンと比較すると、街の雰囲気に合わせて主張は控えめです。見方を変えれば、これだけ殺風景な人工都市でも気合いで中華エリアを作る中国人ってすげえなとも言える。
中国スパイ事件発覚
ですが、キャンベラ。Yさんからの取材中に興味深い話を聞きました。なんと昨年から今年にかけて、この街で中国のスパイの摘発事件があったというのです。
theLetterで事情を細かく書くと大変なので、関連ニュースをたっぷり食わせたチャッピーに「ワイ、アホやねん。本件についてアホでもわかるように700字で説明してくれや」とプロンプトを投げました。
以下がその概要です。ちょっと手直ししました。
ほな、アホでもわかる説明いくで〜。
中国に「心霊法門」という新宗教団体がある。中国政府の取り締まり対象(「邪教」)や。ところがこの団体、創始者がオーストラリアを拠点にしてたので、当然ながら豪州にも信者がおる。中国公安🇨🇳「中国から逃げたらセーフと思ったか?」
豪州警察🇦🇺「あのー。ここオーストラリアですけど」――というのが事件の基本構図や。
ふむ、心霊法門。正式名称は観世音菩薩心霊法門(Guan Yin Citta Dharma Door)というそうです。つまり、法輪功や全能神よりはちょっとマイナーながら、中国政府に嫌われてる新宗教のコミュニティがあるわけね。
それでや。豪州連邦警察(AFP)によると、中国公安は豪州に住む中国出身者を使って、心霊法門の組織やメンバーについて秘密裏に情報収集していたらしい。そこで2025~26年、豪州で関係者が次々逮捕され、3人が外国干渉罪で起訴された。
中心人物とされるのが37歳の女性。警察によれば中国公安の人間とWeChatで直接連絡していた。しかも向こうから、
👮「敵の内部に入れ」
👮「できるだけ上まで行け」
👮「うまくやれば北京から表彰されるぞ」みたいな話まで来ていたという。
さらに仲間として起訴されたのが、鄭斯如(Zheng Siru、31歳)という姉ちゃんと、25歳の兄ちゃん。警察の主張では、この3人で心霊法門の人間関係や活動実態を調べ、中国側へ渡そうとしていたらしい。要するに、
🇨🇳政府「おまえらの教団、中国国内で禁止や!」
😇信者「ほな海外行くわw」
🇨🇳政府「海外まで追いかけるで」
🇦🇺政府「待てや」という話や。だからこれは、豪州の国家機密を盗んだとか、軍事基地に忍び込んだとかいう事件ではない。というか、もっと気持ち悪い。
「中国政府が嫌いな中国人は、外国に移住しても中国政府から逃げられへん」
という怖い事件なんや。
うん、アホでも事情がわかったぞ。いわゆる越境弾圧です。
今回のターゲットは新宗教(中国国内では「邪教」)ですが、当然ながら民主化運動や少数民族運動に対しても、同様の潜入・情報収集工作はおこなわれていると思われます。実際にYさんも、過去にシドニーの中国総領事館でそんな感じの任務に就いていたらしいしね。
で、今回の心霊法門事件についてオーストラリアの報道や中国語のネットの書き込みをあさっていくと、工作に加わった鄭斯如さんの個人情報らしきものも見つかりました。
彼女の勤務先の情報もありました。なんと、スパイの普段の顔はパン屋の店員。
いっぽう、豪州検察の調べでは、銀行口座に約23万AUDの出所不明資金が入っており、3件の不動産と高級車2台を所有。謎の資金源により、なかなか羽振りがよかったようですが、なぜかパン屋でも働いていた。
まあ、中国人の金持ちは素でもそういう謎行動をやりがちです。これだけで即「スパイが身分偽装をしていた!」とまで決めてしまうのは早計なんですが。
評価が普通に低い
さておき、鄭斯如さんが働いていたパン屋です。
Googleマップで調べると、私が泊まっているドミトリーから徒歩4分くらいでした。キャンベラはそもそも、商店の絶対数がすくない街だからな。

道路構造を見ただけで人工的な街なのがわかります。
もっとも、話の裏はしっかり取るべきです。豪州で知り合った事情通の何人かに、例のパン屋の住所について真偽を確かめました。やはり、確かにここで間違いないようです。
……って。
え???
これ、私が昨日の晩に、卵とサラダ(2.2AUDのリーフ詰め合わせ)を買いに行ったスーパーの隣の店「一粒麦子」じゃないか。
ここが中国の女スパイの勤務先かよ。自分のツモ運がすごすぎる。

確かに間違いなかった。

ボロカスの口コミ。「スパイがいたから」じゃなく、純粋にパンが高くて不味いので叩かれているダメ店舗だった。

Googleマップの評価は2.6。うーん。ネタでも買う気にはならんな。
基本的にはパン屋です。
しかし私は現実見てます……。己を知っています……。
ましてやこんなブキッチョな私がうまいパンなど作れるわけがない!!
まずいに決まってる!!客足は途絶える一方……! あなたならどうする……?
と、鄭斯如さんが豪州当局に供述したかは知りません。
さておき、私がキャンベラで会った元中国外交官のYさんが、(20年前の時点でも)オーストラリアには中国のスパイが1000人いると話していたのは、決してフカシではなさそうです。
もちろん、おそらく膨大な数のスパイたちの仕事内容は、中国人が中国人を監視するための仕事のほうがずっと多いはずですが。それでも、いいものじゃありません。
たぶん、日本でも似たような事例はあるでしょうね。帰国後の宿題ができました。
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